[9] 関ヶ谷自治会区域内建築協定 ヒアリング記録
日 時:平成22年1月25日(月)9:30~12:00
場 所:自治会館
出席者:関ヶ谷自治会内築建築協定運営委員会 4人
建築協定連絡協議会 3人
NPO法人横浜プランナーズネットワーク 3人
横浜市地域まちづくり課 2人
1.現地視察
運営委委員会委員長らのご案内で、建築協定地区内の問題箇所や良好な町並みを視察した。
2.意見交換
視察後、自治会館で資料等を基に活動状況や課題等について紹介頂き、意見交換を行った。
・H20年に30周年記念誌をとりまとめた。
・開発前は人がいない谷戸や山地だったところを野村不動産が大規模開発(一人協定)を行った。
・当初は30%(建ペイ率)/40%(容積率)だった。H8年5月の条例変更に伴い、容積率が60%になり、これに対応するために自治会内に新協定準備会をつくった。(22名)
・元々、この地域には、通称”円海山風致地区”として”第2種風致地区”に指定されている。従って、建築協定を策定するにあたっても、「横浜市風致地区条例」と「建築基準法」とのしっかりとした根拠の上に立って、それらに基づく考え方や数値を遵守することを建前にして”建築協定”を策定した。
トラブル発生時には、条例や法をベースにした”建築協定”であることを説明し、説得力を持っている。
・H2~9年で検討し、H9年に新協定策定委員会発足し、H11年3月に認可となった。
・独自のものとして、容積率60%で、めいっぱいの総2階建ての切り妻様式で家を建てようとする場合に、北側斜線制限がクリアー出来ないため、一律に建家の配置を、整合性を考慮して、北側斜線に対して、壁面後退を2mとしている。「一人協定」時代の30/40での眺望に馴れた北側隣地からの苦情に対する配慮でもある。
・以下の3つのルールで運用していくことにより問題は回避できている。
①建築協定:基本のルールとして適用
②運用基準:マニュアルとして対応(建築協定書に盛り込めなかった部分の補筆のような内容)
③協定だより:ルールの周知、啓発
・戸数が1000戸をこえ、住宅地ができてから時間が経過し、様々な考えの人が住むようになってきており、新しい協定を作り合意を得るのは無理である。「反社会性の人達」が混入してきているが、実際に住み始めて、初めて気づき、何時も、後の祭りである。
・運用基準を基に、協力をおねがいしていく方法しかない。現時点では運用基準を受け入れてくれる人が多いのでトラブルが無く運営できているが、今後はどうなるかわからない。
・当初の基準である30%(建ペイ率)/40%(容積率)のままの人と新基準の30%/60%でめいっぱい建てようとする人との間(隣接地)でトラブルが発生しやすい。
・当初から住む人から、新規に建築される方に対して建築違反ではないかというクレームがよくでることがあり、これに対して30%/60%なので違反ではないという説明をしている。
・隣接境界からの後退については、法的には1.5mであるところを2mにお願いしている。10件中8、9件の方は理解していただいている。
・確認申請について基本は事務局でチェックしている。大きな問題点があると委員長と相談する。問題箇所は、修正を業者へ依頼する。おおむね修正してくれる。修正してくれない場合は、運営委員会を開き協議する。
・隣接地からの苦情は、事務局と委員長で対応している。
・見た目は地盤面がかわっているのでは(高さが高い)という苦情が多い。以前の図面で比較して住民に説明している。
・庭地は盛土されているケースが多いので、建て替え時に地盤をならすと地面が上がる場合があるので、隣接道路の元の地盤を示して調整している。新しい所有者となる建て主に対して、必ず「現況図」を準備した上で公道上のマンホール矢板にBMを設定して設計図書を作成する様指導している。が、大手業者以外は手抜きされることがままある。
・業者の人も説明会に参加してもらうこともある。
・新たに転入された方には、最初に来られたときに自治会から情報の一部を渡しているが、最初に自治会に来ないで住宅設計してから自治会に来られた場合はトラブルになることがある。
・建て替え件数はここ1、2年で極端に減っている。
・提出された図面と違う建物を建ててしまう場合は対応できない。「反社会性の組織」に組みする新土地所有者に環境が壊される。
・裁判の必要な事例が多々あるが、費用を積み立てていないので行っていない。
・運用のルールを自治会のHPにはのせていないので、協定連絡協議会のHPにのせる、あるいは市のHPにリンクをはることは考えられる。事前に情報を渡すことがポイントである。
・最近は行政が、この地区は建築協定があるので運営委員会へ相談するよう誘導してくれるようになったので、トラブルが回避出来ていると思う。
・以前はありえなかったが、民間の確認申請機関からの問い合わせも増えている。
・当該区域内の住宅に関して新聞の折り込みや不動産チラシの情報で「建築協定地区」であることが表示されていない場合は、その不動産業者へ抗議して、次回からは協定地区であることを記載してもらっている。それ以降はトラブルがない。
・協定があるから不動産価値が維持されていることをもっとアピールすべきと思っている。
・野村不動産が違反建築物を販売してしまい、その時に重要事項の説明をおこたったことを認めさせ、300万円かけて一部工事をやりなおしてもらったこともある。
・登記簿を取り寄せて所有者を調べている。最近、空家が増え放置家屋が目だってきている。放火未遂事件が数件有り、管理している者を探し出して、管理されている状態に戻すことに努めている。
・穴抜地へ建築協定加入の勧誘説明しており、協定に入る人もいる。
・立場が逆になって話を持ち込んでくる人もいるが、協定にはいっていないと対応ができないので問題化するばあいがある。
・新しく入居される方に対しては、穴抜地と協定地区との区別をしないで同じように建築協定の説明している。
・集団穴抜地は、一人の扇動者がいたために抜けてしまったが、今は後悔している人が多い。(100ブロック中10ブロック)
・協定から外れてしまっていても、風致地区条例がかかっており規制されていて助かっている。
・穴抜地が協定にはいった場合は、行政へ届け出をしてもらうと、公開している協定地区の図が更新できる。
・協定運営委員会は自治会の一活動部門に位置づけられており、運営委員会へは自治会からは副会長他2名、計3名が参加している。
・運営委員は公募しているがなかなかいないので、できるだけ留任してもらっている。
・運営委員会の会費はとっていない。自治会より1万円/年の運営費をもらっている。
・事務局長のポストはもともとあったが、なり手がいなかった。
・事務局長の仕事は書類のチェック。問題がなければ返却、問題があれば委員長と相談、さらに問題があれば運営委員会で協議する。
・会計は自治会からの役員がみている。
・自治会から3名が協定運営委員会にでている。1年でかわるが、自治会役員からはずれたあとは委員として残ってもらうよう説得して委員の確保に努めている。
・自治会と運営委員会を分けているのは、性格の違う問題が出てくるので、一定の距離をおいている。
・「建築だより」は問題がおきたときに発行している。みんなにルールを示したほうがよいときに、自治会経由で全戸配布している。年1回発行している程度。
・これとは別に自治会だよりには協定のことを載せている。
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[10] 長倉町自治会 ヒアリング記録
日 時:平成22年3月16日(月)12:30~15:30
場 所:長倉町自治会館
出席者:長倉町自治会 6人
庄戸町会 1人
ゲスト 1人
建築協定連絡協議会 3人
NPO法人横浜プランナーズネットワーク 2人
横浜市地域まちづくり課 2人
1.概ね6haの宅地分譲開発住宅地
・農林中央金庫+富士銀行が買収、1970年造成、その後区域南部を拡大、当初120→160区画となる。
平均区画:250㎡。
・販売当初人気あり抽選で取得した。農林中央金庫、富士銀行関係居住者は比較的多い。
現在、204世帯583人が居住。
2.取得時には転売禁止条項また建築協定も定める
・建築協定は20年前に敷地分割の問題等で継続を取りやめた。
・なお、当日確認できなかった、失効した建築協定は以下の二つ
005 朝比奈台住宅地区建築協定(S45.6.25認可公告)
006 朝比奈台住宅第2地区建築協定(S45.6.25認可公告)
3.人口増・世帯数増
(当日配布資料データは町丁目、自治会は町丁区域北東部を除外した区域であり若干小さくなる)
・30〜40歳の子育て層が増えている。
・2世帯居住や敷地売却後2分割し、建物付き分譲を購入し居住。
・知り合い居住者の口コミ紹介で購入する人が多いとのこと。
4.増加の要因
・周辺に緑が多く、自然に接することができる。
・当初居住のわれわれも、新日本橋まで90分通勤したが、環境とコミュニティには代えられない。
・地価が安い、「うるさい」協定がない。
・新しい人を受け入れるコミュニティ気質があり、新住民にとって住みやすい。
5.売却等の要因
・高齢による転居。
・現在も高齢一人世帯が数件ある。
6.協定はないが、コミュニティ活動が街を守ってきた
・密な近所付き合い。
・町内会行事、地区外行事への積極的な参加促進。
・自治会の下にある60歳以上で構成する『白寿会』(108名)が実行部隊として活躍。
7.その他
・いたち川保全・整備の「長倉町小川アメニティ愛護会」活動。
・区域に接する市街化調整区域既存宅地斜面の宅地開発問題への対策活動。