[7] 南舞岡一丁目・二丁目住宅地区建築協定運営委員会
ヒアリング記録
日 時:平成22年1月19日(火)15:00~17:00
場 所:南舞岡自治会館
出席者:
南舞岡一丁目・二丁目住宅地区建築協定運営委員会 3人
建築協定連絡協議会 4人
NPO法人横浜プランナーズネットワーク 4人
横浜市地域まちづくり課 2人
[1] 現地視察
自治会館に行くまでの間建築協定地区内の町並みを視察した。
[2] 意見交換
自治会館で資料等を基に活動状況や課題等について紹介頂き、意見交換を行った。
・ 委員の紹介と自己紹介
1. 協定再締結の背景(理由)等説明
・ 協定は、開発単位ごとに結ぼれ、昭和58 年2 月の第2 期分譲地協定は、1 0 年の自動更新規定により更新されたが、同年1 2 月の第3期分譲地協定は、自動更新規定がなく、1 0年目の更新手続きをしなかったため失効している。
過去の経緯については、特に調べていないが、現協定の発足にかかわった委員によると当時の還営委員会が十分に機能していなかったことも一因のようである.
その後、更新した協定の見直しと失効した協定地区を含め、自治会全域を対象とする新たな協定の締結を要望する声が寄せられたため、平成8年5月に準備委員会を立ち上げ、約2 年間の準備期間を経て、平成10年4月に現行の協定が発足している。
・現行の協定は、5 年ごとの自動更新となっており、これまで2回更新している。自動更新は、過半数の同意が必要となっており、更新ごとにアンケート調査を行い、調査の結果と寄せられた意見や要望には回答を行い、委員会だよりの特集号でお知らせしている。
2.建築協定地区の運営について
1)運営委員の選出と構成
・運営委員会は、自治会組織に準拠して1 ブロックから1 名の委員を選出し、9名の委員で構成している。規定では、順番性となっているが高齢化などの事情から委員の引き受け手がなく、例年、委員の選出に苦慮している。
・現状では、自治会ななど地域で活動されている方や委員の知り合いなどに働きかけをし、また委員の任期は2年であるができるだけ留任をしてもらう方法によって、定員を確保している。
・今期の委員は、ー般に高齢者が多い中で若い委員(3名)が加わり、連絡協議会の勉強会で事例発表を行うなど委員会の活性化が図られている。
2)活動資金の確保
・委員会の運営に要する経費として、年額300円の運営費を徴収している。
・トラブルが生じたときの準備金として、特別会計を設け、普通会計から毎年1 0 万円の積立をしている。これまでトラブルがなく支出はない。
3)自治会との関係
・自治会の区域内に、集合住宅など協定区域外(約2.8%)があり、運営委員会は、自治会とは別個の組織となっている。しかし、自治会員の大半が協定加入者であり、自治会の関係団体として、自治会の協力の下に連営されでいる。
・具体的には、運営費(年額300円)の集金は、自治会費の集金に併せて班長に依頼しており、また「協定だより」の協定加入者への配布、「運営委員会だより」の自治会回覧、会議室の定期使用、コピー機の使用(一部費用負担)等の協力を得ている。
・自治会の班長は、1年任期で毎年代わるので、集金やたよりの配布などの協力活動を通じて、協定についての意識が広まり、引っ越し等周辺の異動等について貴重な情報源となっている。
4)運営委員会の独自活動
・年2 回「運営委員会だより」を発行し、新築届等の届出、委員会の開催、その他協定に関する情報等運営委員会の活動についてお知らせしている。
・年度当初のたよりでは、前年度の「活動報告」・「決算報告」と新年度の「活動計画」・「予算」・「運営委員名簿」をお知らせしている。
・協定の自動更新時に行うアンケート調査の結果については、意見・要望に対する回答を含めて、別途、特集号を発行している。
・新築届等の受付、審査、委員会に諮る議案書の調整、名簿の管理等会計事務を除く事務を処理する事務局を置き、事務処理の一元化、効率化を図っている。なお、当委員会独自の「事務処理要領J を作成している。
5)隣接地(未加入地)への働きかけと実績
・アンケート調査でも「未加入地の解消」の要望がー番多いが、特別な活動はしていない。日常活動の中で、未加入地の動向をキャッチして加入の働きかけをしている。
特に、未加入地の所有者が変更した場合がチャンスで、新所有者の加入の働きかけを行い、このケースではこれまで100 %の加入率となっている。
・協定発足後(H11〜H21)の加入者数は19件(現在2 件加入手続中〉である。
・未加入地でも、新築の際は加入者に準じて「新築協議書」の提出を求め、基準適合の有無を審査している。従って、未加入地でも実態は加入地と同様に基準に適合した建物が建築されている。
6)新築・建替え等の情報の入手方法
・新築(所有者変更を含む)の場合は、設計業者が市またはホームページで調べ、事務局に届出の手続きについて照会がある。
・建替えを伴わない土地の所有者変更については、新聞折り込み等の売り出しのチラシ等で該当家屋を把握しておき、入居の状況をみて所有者変更の手続きをする。
・引っ越し等で入居者が変わったが、所有者が変更しない場合(貸家)は、自治会の班長、また近隣の情報で把置している。(所有者の転居先が不明の場合が多く、名簿管理上支障がある。)
[3] 協定の内容・運営上の課題について(意見交換)
・地域の高齢化に伴い、高齢者が住みやすい街づくりを考えた協定に見直す必要があるとの要望がある。(用途の見直し)
・土地の分割基準の330㎡以は、現技の宅地面積の実態からも緩和してもよいのではないか。
・協定区域外となっている集合住宅の地域を含めた地域全体の街づくりを考えてはどうか。
・隣接地対応を含めて、地区計画への移行を検討する予定であるが、取組み体制づくり、全員の承諸が得られるかの不安もあり、具体的に進展していない。
・未加入地の分割地(基準不適合)に建築した基準適合の建物について、当時協定に加入できないとの指導であったが?(協定加入はできるので、市と相談を)
・協定加入の空き家をグループホームに利用することについての照会があったが、協定基準の「用途」に抵触するとの指導があり、利用はできない旨回答している。
(利用の実態により、生活の視点で考え方がよい)
・街歩きをすると、様々な家の形態がある。山小屋風の家もあった。高さの問題とかいろいろあると思う。図面だけではなかなか判断できない。
・地区計画への移行については、実際のとこる合意形成は難しい。また時間もかかる。
・協定未加入問題に加えて、協定の運営が高齢化などで難しくなっているというのも地区計画移行を考えた理由である。
・地区計画だけで議論していくと、元も子もなくなってしまう場合もあるので、慎重に検討した方がよい.
入手資料
1)建築協定加入者の皆様へ「建築協定の期間満了に伴う協定継続の是非について」
(アンケート調査通知文)
2)建築協定委員会だより(第25号)
[8] 栄本郷台地区地区計画 ヒアリング記録
(旧 本郷台住宅地区建築協定)
日 時:平成22年1月22日(火)14:30~14:00
場 所:本郷台自治会館
出席者:本郷台自治会まちづくり21委員会 6人
建築協定連絡協議会 5人
NPO法人横浜プランナーズネットワーク 2人
横浜市地域まちづくり課 2人
1.現地視察
自治会館にいくまでの間地区計画地区内のまち並みを視察した。
2.意見交換
自治会館で資料等を基に建築協定時代の運営から建築協定から地区計画へ移行したことについて紹介頂き、意見交換を行った。
・委員の紹介と自己紹介
1)建築協定時代の運営について
・野村不動産の一人協定から本地区の建築協定は始まっている。
・協定のないところもあった。
・平成8年9月本郷台地区建築協定認可。有効期間10年。3用途地域(第一種低層住居専用地域、第一種住居地域、準住居地域)共通。第二種中高層住居専用地域(商業、診療所区域)は協定区域外。
建築協定違反があったが解消した。(本郷台住宅地区「建築協定より」第8号(平成12年5月20日発行)に経緯等を掲載)
2)建築協定から地区計画への移行について
(1)地区計画に移行した理由
・背景として住民の高齢化に伴い、建築協定委員の選任が将来スムーズに行かなくなるのではないかという不安もあった。
・現在の住環境に満足し、今後とも一定のルールのもとでまちなみを維持してもらえれば今後とも本住宅地に住み続けたいというニーズのある人が80%いることが分かった。
従って穴抜け地を作る可能性のある建築協定より、横浜市の条例に組み込まれる地区計画がその時考えられるベストの選択と考えた。
・建築協定から地区計画に移行したがこれでよかったのかについてはわからない。そのときに考えられるベストで選んだ。
・時代のニーズだったを考えられる。本郷台地区はこう進めてきたので同じことを悩まれる方にヒントになれがよいかと思いお話をする。
・地区計画への移行は
H.12年:地区計画の説明。
H.14年:建築協定たよりの中で建築協定以外に地区計画もあるということを情報提供した。
H.15年:3年後には建築協定の期限を迎えるということがあった。自治会創立30周年記念事業ということもあり、まちづくり21委員会をH.15の秋に発足した。
・合意形成なので広報活動をはじめた。PRをして意見をだんだんまとめていくことになる。方策としての意向調査、顔と顔をあわせた説明会。これない人のための広報、広報紙。意識調査というか意向調査を行った。よいまち並みを維持するには何らかのルールが必要ということに関しては78%以上の人が建築協定を維持したいという回答であった。果たして建築協定でよいのか。委員の中にも不安はあった。約80パーセントはよいが20%がいわゆる穴抜け地であった。そこが2分割3分割になる。今までと違う風景が展開される。将来が不安である。家がたたなくても空き地が増える。空き家も出てくる。
・野村不動産所有の5丁目遊水池に、NPO法人が特別養護老人ホームを建設する計画が提起され、周辺住民に説明して、一旦は了解されたが、最終的には中止になった。
・こういったことが建築協定のままでは防ぎきれない。比較的地区計画は賛成する人が多かった。建築協定委員会には幸いにも人がいた。建築協定委員会やめる人がいたら必ず一人推薦というやり方。建築協定運営委員を選任することはできる。
・穴抜け地に建っているのは、最低敷地面積125㎡以下の住宅と共同住宅であり、最低敷地面積は既存不適格とし、現時点で共同住宅のある地区は、2戸以上の共同住宅が建築可能な地区として、A4地区、B2地区とした。
・四つの用途地域があるのが苦労の種であった。最小敷地規模をどうするのか。125㎡が建築協定だったが165㎡が97%だった。そこで判断された。なぜ165なのか。150でもよかったではないのか。建築協定のままでよかったのではにあのか。紆余曲折があった。
・建築協定では同じであったが、建ぺい率、容積率も、A地区、B地区、C地区で変えた。
・壁面後退距離についても、現状に合わせて135㎡未満の敷地は1mを0.5mとした。
既存不適格のことでももめた。穴抜け地の人が侮辱されたと思わないのか。広報、広報誌や説明は相当用心して進めた。話せばわからない人はいない。まちづくりコーディネータには湘南桂台の自治会長だった竹谷さんにお願いした。さかえ住宅環境フォーラムでも活躍している。
(2)移行活動の大変だったこと
・広報、広報誌がまちづくり21のひとつの柱であった。説明会も熱心に開いた。
・広報、広報誌紙は非常に重要で36号出すとともに号外3回、別冊1回だした。これから決めようとすることをお知らせをする。自治会報毎月15日に出る。まちづくり21としてはH.15 10月号で委員会設立に際してそのことを載せた。コーディネータのことも。33号では地区計画が都市計画審議会で通ったこと。また38号ではガイドラインを載せた。そのように広報、広報誌活動は立ち上がりから発行してきた。
・委員は自治会から三分の一、建築協定委員会から三分の一、公募推薦が三分の一。建築協定とは何?地区計画とは何?本当に徹底して進めた。
・また何かあると説明会を必ず催した。またその結果をPRする。
助走期間が重要。自治会が中央公園で実施している1月のどんと焼き、7月の夏祭りでもまちづくりのPRを行った。
・湘南桂台にも視察にいった。まちづくり指針も検討した。要するにどういうまちにしていきたいかである。バスを借りていった。協定のないところについてうまく書かないとうまく進まない。総論賛成だが各論反対もある。
・どういうまちにしたいか討論した。まちづくり指針についても委員でまとめ、説明会をやった。
・用途地域が四つもあるのでそれぞれ4地域に対して委員でプロジェクトチームを作り、人数バランスも考えて自分のすんでいるところではにないところに入って委員もあった。
・第二回意向調査では大地主を中心で行った。町内会が重要だが飛び地もある。横浜市は道路界が最優先である。地勢とか道路とか地区計画の区画割については勝手にはできない。横浜市としては地区計画決めるのならここは入れなくてはだめとか地区計画の境界はどこに設定するのか。難題であった。ここの知域のニュアンスは大切で地勢は歴史のことは地元の意向によることになる。小菅ヶ谷地域で入らないところもある。そこだけの説明会もやった。
・基本は用途地域、用途地域別に意向調査を行うことが原則。
・緩和措置の検討も行った。
・横浜市に対して提案する素案作りを行った。調和と緩和の調整である。例えばB地区の建蔽率容積率は一回決めたがアンケート別々にやり組み合わせとしてどうなるのか。法律通りがよいというね強い意見の人もいた。審議会に通る内容なのかという問題もあった。最終意向といいながら再再終意向も問題なところに関してはやらざるをえなかった。そのような経過のもと素案を提出した。またガイドラインもまとめた。
(3)移行の効果と問題点
・効果について定量までやっていない。アンケートの結果どうのなのかということはある。初期の目的であった落ち着いたまち並みは保たれている。
・空き家が増えているとか、高齢者ばかりになるなど。空き家は結構売れている。住環境が買われているように思う。購入希望者が来ている。委員会としてはガイドラインのことも評価したい。
・問題があるとすれが将来のことである。計画の改訂はありうる。その時代時代の人が考えていくしかない。建築協定が失効し地区計画が成立するまでの空白期間(8ヶ月)に建築協定穴抜け地で敷地分割されたが、地区計画の最低敷地面積165㎡未満ではあったものの建築協定の125㎡以上であった。
・公務員の方の意識も高い。高い立場で指導していただいたことには本当に感謝している。
・地主を中心にコンピューターで処理したが結構大変だった。市からデータは来たが全部照合した。
・委員会はメンバー30名。10名が自治会。11名が建築協定委員会。9名が公募であった。またプロジェクトチームを作り動いた。
3)「本郷台まちづくりガイドライン」の役割について
・ガイドラインを作るので委員は皆残った。業者からガイドラインの確認がくる。
・ガイドラインの審査はとくに色彩のことがある。
・色彩のことは研究した。吉田先生指導。アンケートもした。ある日突然塗装されてしまう。景観の美しさ、調和のとれたという条項もある。色のチェックこの1年やってきた。基準色を推奨している。マルセル記号で決めている。
・地区計画とともにガイドラインも強制力は無いものの同時に施行されている。建築物の事前届出書によりガイドラインを審査している。
・田園調布では憲章があったのはとてもよかった。
・今年の4月からガイドラインに適合しているかどうかをやることになっている。
・専門家の必要である。誰か紹介もして欲しい。
・結構運営は大変である。老化防止にはよいが。
4)自治会との関係
・自治会との関係が濃密なのでうまくいったのかそれとも広報、広報誌なのか。
・何がポイントなのか知りたい。
・それは簡単にはわからない。サーベイすると面白いかもしれない。
・確かに委員の構成が自治会も入っていることは大きい。
・これからが大変。
・新入会員には懇談会をやっている。昨年は60世帯であった。
・あまり長い時間をかけるより一気にやるほうがよいかもしれない。
・回収率90%、賛同率90%は厳しい。
・あまり長くなってくると疲れてしまう。
・サイレントマジョリティの意見をどうとらえるのか。
・過去(平成11年5月)に協定違反(最低敷地規模未満への敷地分割、隣地境界からの後退不足、建ぺい率オーバー)の問題が発生した。運営委員会は横浜市建築局企画指導課(当時)に行政指導を要請、指導が行われたが申請者は従わなかった。申請者と運営委員会が面談し、面談の結果を市に報告。市は再度是正指導を行ったが、申請者は従わず、市も建築確認を出さざるをえなかった。
・上記の件について、運営委員会で裁判所への提訴を含めた対応方針を決定。自治会の臨時総会を開催し、積立金から550万円を訴訟の保証金に充てることを承認。建設予定地の近隣住民による緊急集会を開催し反対の看板を設置。協定地区の住民に主旨を説明し、反対署名を集めた。平成11年7月。横浜地方裁判所に、1万人以上の反対署名を添えて、建築禁止仮処分を申請。横浜司法裁判所から「建築禁止仮処分命令」が出て、保証金420万円を納入。平成12年4月の定例総会で訴訟特別会計を設けることを決定。500万円の積立を目標に積立を開始。会員から毎年500円以上を募金。自治会から毎年20万円を積立。平成15年に520万円に達し、以降の積立は中止。
・自治会では昼間もパトロールもやっている。夜間パトロールは80名の人がやっている。防災訓練もやっている。
・そのようなまち歩きのときに新しい情報が入る。
・世代を超えた自治会活動が重要である。
・ホームページのこともある。自治会のホームページとリンクさせてはどうか。
・ゴミの問題とかもある。
5)今後に向けて
・高齢化の問題からは逃げれない。必要な施設に関しては検討していく必要がある。
・増築の問題もある。10㎡未満をどう捕らえるのか。
・地区計画では、建築確認申請を必要としない10㎡未満の増築についても地域まちづくり課への届け出が必要であり、新築・増改築の事前届出では地域まちづくり課への届出日を記載してもらっている。現時点では、10㎡未満の増築についても、届出書が提出されている。
入手資料:
1)建築協定と地区計画の比較表
2)本郷台住宅地区外壁色彩基準
3)位置図