[5] 北山田六丁目東部建築協定 ヒアリング記録
日時 2009年12月15日10:00-11:45
場所 北山田地区センター和室
出席者 北山田六丁目東部地区 8人
連絡協議会 5人
横プラ 2人
地域まちづくり課 2人
1.建築協定締結の背景(理由)
1) 協定締結の動機、契機。発意者、協定締結までの検討期間
・港北NT建設時に事業区域内に点在していた小規模宅地の集合換地地区。
・当初、当地区南に接する幹線道路沿道街区に自動車交通騒音を緩和するために壁状建築物の建築誘導を事業者が考えていたため、それを防ぐための運動を「小規模宅地所有者の会(宅地会)」として進めていた。
・横浜タイヤができたときに住環境維持に関して交渉し自主帰営して頂いた。また、5階建てマンションができる予定のところを2階建ての住宅に変更してもらった。
・委員は、幹線道路沿道街区背後の宅地の人が率先して引き受けてくれた(委員5人中3人)。
2)「建築協定」を選んだ理由(当初の見通しと、現状の評価)
・1期はトラブルがなかったのでよい環境が維持されたため、協定に入っているメリットが感じられず、更新時に協定に入らなくてもよいのではという意見もあった。
・更新2期目に、東電やURが会員からはずれ40戸(39戸?)となった。
・当初から穴抜け地があった。現在4戸が移転し、高齢化が進行しており転売しようとすると評価が下がるという考えでなかなか更新に賛同してくれていない。次期更新に向け5割を確保できるかが課題である。
3) 居住者の平均像(年齢構成、世帯の規模、入居時期等はいつ頃かなど)
(アンケート回答:高齢者、独り住まいが多くなってきている)
・昭和57年ごろに移転してきた。住み始めたころは若手だったが、今は代替わりの時期。独居老人世帯も出てきている。
・H17年以降2件が変わった。
・昨年は4人がこの土地を離れた。
・代替わりで土地を持ちきれない。不動産業者がどう扱うかが一番気になっている。
2. 協定の内容・運用
1)協定期間の決め方、考え方、永年型協定にした理由
(過半数の継続反対がなければ5年ごとに自動更新)
・前回更新時には皆に集まってもらい意見を聞いた。
2)緑化率、空地の設定なども定めた理由
・165㎡以下の敷地は1/3程度ある。
・ニュータウンの公団事業では70坪を基準としており、70坪以下の土地は減歩ではなく金銭を払った。
・「主要な出入口への空地設置」基準は、“ドアを開けたら突然道路”といった状態をなくすため。また、当時は40/60、当然空地が発生する。それを緑地として有効利用するため。空地については宅地会で話し合って取り決めた。
・これまで、庭木を切って建て増しといった事例はない。むしろ、家族人数が少なくなり部屋をもてあましている。
・結果として、緑の多い住宅地としては定着しているのではないか。
・庭木の管理が大変だ。
3. 協定運営上の課題
1) 問題があった場合の対応の考え方(不問にする問題の程度など)
(アンケート回答(審査で問題あったとき):特に問題がなければ不問)
・建築形態として二世帯住宅ではないが、同居的に二世帯で住んでいる住宅が10件ある。
・二世帯住宅にして借家にしたいという要望がある。不動産業者に対してはできないと返事しているが、住民が収入を得ながら住み続けられるためには認めていくことも必要ではないかと考えている。
・2期の更新の時はここまでは問題化していなかった。
・高齢・病人などの理由で、役員になる人がいなくなってきた。
2) 今後の建築制限内容の変更について
(アンケート回答:近年、高齢、独居者が増えてきつつあり、今後今の協定を継続するのが難しくなる。 1.建築物を手放す、2.緑化、3.共同住宅化。)
・年金が少額で、家賃収入を目的に二世帯住宅としたいという要望がありダメとはいえない。
・グループホームは現時点ではないが、今後出てくることは考えられる。
3) 協定運営の課題、効果(建築協定隣接地への対応なども含む)
・ 空地が不動産屋さんの仲介で土木建設用トラック5台の駐車場として利用された時があった。エンジン騒音、付着泥落下、暖をとるための廃材のドラム缶焼却などいろいろ問題があり、トラック運転手に注意をしていたが、相続をきっかけに売却され、テラスハウスになっている(隣接地)。
・ 隣接地の人は建築協定に関心ない。
4. 運営委員会の状況
1) 運営委員会の選出/構成方法(長い運営委委員が多いようだけれど?)
・ 当初からの委員が継続している。たいした活動をしているわけでなく長くやっていられる。
2) 活動資金の確保(更新時に一括徴収となっているが(5年毎?))
・初回に1回だけ入会金をもらった。それ以外は徴収していない。
・お金はかからない。
3) 自治会との関係(連携)について(今後の必要性なども含めて)
(アンケート回答:自治会の中の一つの組みたいな活動になっている)
・ 建築協定はトータルなまちづくりの中の一つと考えている。
近くに国際プールなどもあり、違法駐車問題なども考えている。
・ これからは、介護など近所どうしの付き合いが大切。建築協定がそのきっかけになると良い。
・ 代替わりの時期であり、建築協定がまちを保全していることを次の代に話して伝えることが大切であり、家族単位で建築協定の意義を話し合っていくことが大切に思う。
・ 建築協定で培われた人間関係を大切にしていきたい。
[6] いずみタウン金沢文庫建築協定 ヒアリング記録
日 時:2010年1月16日
場 所:釜利谷地区センター
(意見交換~現地(視察))
出席者:運営委員会 4人
協議会委員 4人
市 役 所 1人
横 プ ラ 2人
1. 地区の概要
・地権者66名、居住者61名(幼稚園を含む)である。数が合わないのは家はあるが住んでいない居住者がいるためである。
・建ぺい/容積制限が40/60%(当時。現在は40/80%)の地区に、平均60坪くらいで売り出された。
・A地区は専用住宅のみ、B地区は共同住宅も可である。
・いずみ日本興産(現在の住友不動産)がディベロッパとなり7名の地権者が居た土地を開発したまち。
・5-4、5-5、5-9、5-10、6-9~11が共同住宅であるが、そもそもアパートありきで開発があったと思う。慣れてしまっている面もあるが、違和感はない。
2. 居住者と暮らし
・開発から25年が経ち、70代・80代の人もいる。
・2代目の方もいる。
・これから世代交代がさらに出てくるだろう。
・居住者世帯の入れ替わりはさほど無い。今期は新築が1件あっただけである。前期、前々期も2~3件であった。
・通勤は徒歩か自転車が多い。駅まで徒歩18分である。
3. 地域組織との関係
・坂本町内会に属し、エステハイツを含んだ形で「いずみタウン地区」と呼ばれている。
・いずみタウン地区の組長連絡会(4つの組で組織)が奇数月の第二土曜日に開催されるがそれに参加している。
4. 建築協定運営委員会の発足と目的
・昭和61年に居住者が主体となった運営委員会が発足。
・「住宅地としての環境を継続する」ことを目的としている。
5. 建築協定運営委員会の役員
・平成7年までは最初の運営委員会が継続していた。その後、平成7~10年が第2期、平成11年からは2年毎に交代し、現在8期である。
・輪番のルールは慣例であるが、4つの組から一人ずつ出る、一応の回し順がある(どうしてもできない人は、その人が別の方に依頼して了解をとりつける)、これまで委員をやった人は除外する。
・4人の役割は話し合いで決定する。
・運営委員になって半年間は内容が良くわからず苦労した。その意味では,業務の引き継ぎが大切であり、委員長には1年間アドバイザーとして残ってもらう仕組みなども必要と思っている。
・現在の委員長及び会計委員は平成15年に居住、副委員長は移り住んで10年程度、別の副委員長は開発当初からの居住者である。
6. 建築協定運営委員会の会費等
・会費は一世帯500円だったが、繰越金がある程度あるので、平成18年からは集金を中止している。
7. 新築等の情報の入手方法
・転入しようとした時には、不動産屋さんから建築協定についての情報提供があった。
・入居者募集等の看板が立つと、そこに書いてある不動産屋さんにお願いして、新規入居者から委員長に直接連絡をもらうようにしている。
8. 現協定の課題
・玄関が2つある二世帯住宅は不可となっているが、これを今後どうするかは課題。
・協定文に「新築」の際の文言が入っていないようだが?(協議会メンバー)
→そうした不備を市より指導してもらえるとありがたい。(運営委員会)
(上記の「新築」の際の規定が建築協定に反映していない点については、地域まちづくり課にも相談の上,平成22年3月の総会にて決議し,一部協定の内容を修正した。)
・実例が出てこないと、どこに不備があるかもわからない状況である。
・運営委員会としての承認印がそもそも無かったなど、組織として十分な対応が出来ていなかった点がある。今期にいろいろな面をきちんと整備したつもりである。
・元々駐車場であった2-6が今回新築される敷地だが、ここは5条(1)の例外規定がある敷地である。何故特定の敷地に例外規定が設けられたのかは不明である。
・階数制限で3階を認めるのは当時の協定としては珍しいと思うが?(協議会メンバー)
→平成7年の改定の際に2階から3階になった。背景はわからない。(運営委員会)
9. 質問したいこと
・「隣接地」と「事前協議地区」の違いが不明確であり、この違いを正確に教えてほしい。
・元々2箇所が「隣接地」だと言われてきたが、現在、市に確認すると「隣接地」は無いと回答された。
・二世帯住居で2つの玄関にしたかったが協定により諦めたらしいお宅がある。市内事例で玄関2つの二世帯住宅を許す条文の色々な例を知りたい。
・運営委員会の細則があるが、あまり細かな点まで明記されたものではない。特に規定がなければ勝手に決めてよいのか。
→細則は、総会での制限条項以外であれば、基本的には委員長の権限で決定できる。(協議会メンバー)
→12条以外のものであればokということであり、内容によっては細則に謳うことで対応が可能なものがある。いずれにしても個別にアドバイスしたいので、地域まちづくり課に相談してほしい。(地域まちづくり課)
10. その他、協議会委員からのアドバイス
・庄戸では、外階段、物置、車庫、等の制限が無く、建築士から緩い協定だと言われた。
・玄関以外に北か西に外階段が付くケースがあるが、その結果、隣地境界1m以内の設置となる、隣地から見下ろされる、音の問題、等のクレームが発生しやすい。協定の意味を理解しておく必要がある。
・10㎡以内の増築への対応が難しい。
・自分たちが住みよいまちを作ることが本来であり、協定でがんじがらめにすることが本意ではない。