[3] 青葉美しが丘中部地区地区計画 ヒアリング記録

 

(旧 美しが丘中部自治会建築協定)

 

 

 

日時:平成211130日(金)15:0017:15

 

場所:美しが丘中部自治会館

 

出席者:街づくりアセス委員会(5人)

 

     建築協定連絡協議会 (3人)

 

     横プラ(2人)

 

     青葉区役所(2人)

 

 地域まちづくり課(3人)

 

 

 

1.建築協定から地区計画への移行について

 

 

 

1)背景と経緯

 

・第4期建築協定の発効を控えて次のような懸念が増してきていた。

 

  ①.建築協定に参加しない穴抜け地の増加の心配

 

  ②.建築確認業務の民営化によって行政支援の確約不能

 

  ③.住民の高齢化に伴い建築協定委員の委託不能

 

  ④.協定違反に対する委員業務の増加・複雑化(知識不足)

 

・穴抜け地であった元の地主の宅地を不動産業者が購入しマンション化。交渉によって、バス通りに面したところは戸建て的に変えてもらい、緑地をとってもらった。また、車の入口を工夫してもらった。こうしたことは今後も起こりうることと考え、地区計画への移行を検討する理由の一つとなった。

 

<建築協定時代のトラブル例>

 

・洗濯機を外に出して屋根と壁で囲ったケースで、敷地境界からの距離(1m以上)が守られなかった。裁判で撤去してもらった。

 

 

 

・H8に市から地区計画への移行の打診があったが、時期尚早として見送り勉強会にとどまった経緯がある。

 

H114月に地区計画検討委員会を発足させ、本格的に地区計画を策定した。5年かけて地区計画へ移行できた。

 

・住民意向をくみとるために、節目ごとにアンケートを実施した(5回)。アンケートでは、計画内容を徐々に具体化させ意向を聞くよう工夫した。

 

・当該地域全住民を対象に、H156月に横浜市が原案説明会を実施し、H159月に都市計画審議会に諮り、H1512月議会で可決した。

 

 

 

2)建築協定から制限が変更されている部分について、その理由や地域の声など

 

・地区計画の内容として、建築協定をそのまま移行したものは、階数、高さ、軒高、建ぺい率・容積率、敷地面積である。変更したものは、建物用途(店舗兼用住宅を可)、隣地との距離(A地区の一部をB地区として扱い50cm)。

 

・A地区の一部をB地区としたのは、敷地規模が小さく隣地境界からの壁面後退距離を小さくしてほしいとの意見が多数出たためである。

 

・住民からは、近所の店で買い物をしたいという意見と、買い物は周辺のデパートを利用すればよいという意見と双方ある。

 

・店舗兼用住宅(店舗部分が502以下の住宅)を建てた事例は6年間で1件あるだけである。

 

 

 

3)移行活動の期間・方法・大変だったこと

 

・建築協定運営委員を中心として、地区計画検討委員会を立ち上げた。これは自治会と無関係の組織である。地区計画移行後は、自治会内部に設置していた建物・環境委員会と合体して現在のアセス委員会となった。

 

・地区計画検討委員会は44回開催され(H11.4H15.10)、市から派遣されたコーディネーターを中心に議論を行い、行政から企画課長他延べ49名が出席され、その議論に加わった。

 

・対象地区を数地区に分け、それぞれの地区の特徴を考慮した制限事項を定めて対応し、自治会エリアと地区計画対象エリアを同一地域にした。これは住民として受け入れやすいしくみであり、自治会との連帯感が強まり、自治会組織を利用できるメリットが生まれた。

 

・遊歩道沿いの車庫設置禁止項目を地区計画に移行することは無理であることが判り、急遽、歩行者専用道路への指定替えを企てた。その作業が地区計画移行と重なり大変だった。半年遅れで歩行者専用道路に指定できた。

 

・建築協定不参加者との折衝に苦労した。地区計画への移行に関して、市は100%の同意が得られなくてもよいということだったが、この同意がないと反対されると考え、折衝を続け同意を得た。

 

・地域の人が頑張らないと地域にとってよい計画は実現しないことを学んだ。

 

 

 

4)移行の効果と問題点

 

・建築協定では建築確認申請以前に市がチェックした設計図を運営委員会で見ることができたが、地区計画に移行してからは、市で確認申請がおりないと、建物情報が開示されなくなった。従って、建築協定でなされていた事前調整ができなくなった。

 

・市では、H18から協定地区の場合は確認申請を受付てからすぐ業者へ運営委員会に意見を聞くよう指導している。(市)

 

・H204月より建築主には立面図(寸法なし)と配置図を「街並みガイドライン(ルール)適合チェック表」に添付してもらっている。住民も希望すれば閲覧できるようにしている(コピーは不可)。

 

・「街並みガイドライン(ルール)適合チェック表」は督促することもあるが100%提出されている。そこで問題が発見されたときは、業者と協議して解決している。こうしたケースは年に12件ある。

 

 

 

2.アセス委員会と街並みガイドラインについて

 

 

 

1)アセス委員会の活動

 

2003年に地区計画検討委員会が解散、20043月にアセス委員会が発足。

 

・毎月1回委員会を開催し、建築確認認可情報を入手し、アセス委員への報告、ガイドラインチェック表の審査、住民要望による個別調整等を行っている。

 

・地区計画施行地域」の表示杭を6本設置した。

 

・住宅基本台帳の作成(データベースとして継続作成中)。

 

・違反建築防止の自主活動(市と協働)として、「違反建築防止啓発表示板」の取り付けを行っている。

 

・「地区計画街づくりハンドブック」20084月改訂。工事の時の配慮事項を追加し、配置図、立面図、工程表等の提出、近隣説明会の依頼を追加した。

 

・ユリノキ保全対策の検討・立案・試行を行った。自治会はこの試行を踏まえ、例年ユリノキ通りの美化活動を実施している。

 

・ユリノキ全数を樹木医に診断してもらい、樹木台帳を作成した。土木事務所に資料を提出し、区が弱っている木を撤去した。

 

・第1回街並みコンクール入賞を記念して、パスネットを制作し記念植樹を行った。

 

・歩行者専用道路の適正な使用と修景について研究を重ねている。

 

 

 

2)アセス委員会の協議方法

 

・アセス委員会の行動規範を決めて統一をとっている。

 

・委員会はパトロール等での違反摘発は行わない。あくまで住民からの要望で対応し、住民と建築行為者との仲介役を担っている。

 

・「街並みガイドライン」はあくまで紳士協定(お願い)である。

 

・仲介が不調に終わればそのままになってしまう恐れがある。

 

 

 

3)アセス委員会の構成

 

20人、任期は2年。自治会の専門委員会として設置されている。20万円/年の活動予算。役員は委員の互選で選任。自治会からも副委員長含め4人の委員を出してもらっている。

 

・地区が4ブロックに分かれており、各ブロックから推薦で2名の委員を選出し、そのブロックの住民の意見を反映させている。

 

・公募の8人は11年間継続して委員になってくれている。

 

・高齢化しており、若返りをはかりたい。

 

 

 

3.その他

 

 

 

・高齢化によってデイサービスなどのニーズはあるが、福祉対応はアセス委員会の所掌事項ではない。

 

・グループホームを作りたいという話があったが、周辺の反対があった。

 

・「地区計画街づくりハンドブック」は、市より派遣されたコーディネーターが中心となり、アセス委員67人がワーキンググループを作り、56ヶ月かけて熱心に取り組んだ結果できた。

 

・自治会費500円/月。以前から変わっていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[4] 市ケ尾町泉天ヶ谷公園地区建築協定 ヒアリング記録

 

 

 

日時 200912314:0015:00

 

場所 青葉区役所403会議室

 

出席者 市ケ尾町泉天ヶ谷公園地区 1

 

         連絡協議会   5

 

         横プラ 4

 

         青葉区役所 2

 

         地域まち課 2

 

 

 

1.建築協定締結の背景(理由)について

 

 

 

・用途地域1低、建築協定付の良好な開発分譲住宅地区の協定が(20年を経過し)H16年に失効。

 

 失効に伴い建替え・増改築の増加、少数の違法建築の発生及び空き家の長年放置状況に対応。

 

 

 

2.協定の内容(用途・兼用住宅、有効期間等)について

 

 

 

・基本的に隣の協定地区(市ヶ尾町D地区:83戸)の内容に習った(とくに兼用住宅)。

 

 (隣の地区は、他に市ヶ尾町B地区:100戸があり、当地区とDB地区の合計は286戸。)

 

・有効期間は10年間、延長5年間・合計が20年間まで。

 

・敷地面積200㎡以上(売却時のことなどを考慮し165㎡も検討した。)

 

・なお、分譲住宅取得条件としてのTVアンテナが立てられない規定を盛り込むことも検討したが、同条件の失効後も建物外観を考慮してみんな立てていないので除外した。

 

・さらに、4軒の内1軒の窃盗被害への対応(ガードマン会社への一括依頼等)、排出増加ゴミとゴミ置き場への対応、暴走族への対応などが議論された。

 

 

 

3.運営委員会発足時の運営ノウハウの修得方法について

 

 

 

・隣の協定地区(市ヶ尾町D地区)の人がいろいろアドバイスをしてくれた。

 

・青葉区まちづくりセンターにお世話になった。

 

 (行政と一緒になって、データを収集し、いち早く対応することが大切)

 

・事務局の働きが一番のポイント、住民アンケート、メールアドレスの収集整理などに効果があった。

 

・参考にしている図書等

 

『横須賀市建築協定パンフレット』

 

『住民合意形成ガイドライン』(まちのルールづくり相談センター)

 

これが一番参考になりました。

 

『建築協定運営委員会の手引き』(横浜市建築協定連絡協議会)

 

『建築協定更新マニュアル』(横浜市建築協定連絡協議会)

 

『いちからつくる建築協定』(横浜市)

 

『チャレンジ2007

 

 

 

4.自治会との連携について

 

 

 

・そもそも、当初協定失効に伴うトラブルに、町内会(下市ヶ尾町内会は1,400戸で構成)では手に負えないということで町内会の有志が集まった。アンケートの実施、準備委員会(15名)の立ち上げなど、3年間準備した。

 

・会費(500/年)は、町内会組長(組:20軒)さんに町会費(2400/軒・年)と併せて徴収をお願いしている。

 

・賃貸者経由の地権者とのコンタクトに時間と経費がかかる。

 

 

 

5.隣接地区への働きかけについて

 

 

 

・隣接地12件の内9件が地区外居住者。

 

・内2件は町内会に未加入でかつ当会費も未納入。

 

・地権者が高齢化(施設入所)により意思表示が困難な方もいる。

 

・用途地域が異なりコンセンサスとりにくい。

 

 

 

6.その他

 

 

 

・できたてなので、運営委員会(委員は7名内1名女性)は一回のみ開催した。

 

・明確な協定違反が1件あり対応しているが、外国人でありコミュニケーションしづらい。

 

・隣の協定地区(市ヶ尾町D地区)と共同して、建築協定を告知する「掲示板」を泉天ケ谷公園、町内会掲示板の隣りに設置した。

 

・これから、進めたいこと

 

          地権者向けPRレターの発送

 

          他地区見学・勉強会の開催

 

          建替え・増築・外観等の情報連絡会の中身を充実する(チェックリストの作成)

 

 

 

●入手資料

 

・「市ケ尾町泉天ヶ谷公園地区建築協定書」

 

・「市ケ尾町泉天ヶ谷公園地区 建築協定区域図 2009.11.30現在」

 

・「別紙 特別寄稿 泉天ヶ谷公園建築協定」鶴見秀文(『東市ケ尾申請クラブ会報』掲載)